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2024-02-29 20:00:13| 人氣1,702| 回應0 | 上一篇 | 下一篇

【詩譯情箋】菊田守詩作二十首

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(圖為‎文藝社《日本動物詩集》的封面。本書匯集菊田守(1935-2019)先前二部選詩集《日本昆蟲詩集》、《日本鳥獸詩集》內容,重新編輯出版。菊田詩裡有許多小動物登場。菊田不把小動物單純當作創作素材,而是與牠們生活在同一次元中,將關懷體察之情化為詩。透過身邊各種小動物的視角,敏銳透視人類的本質,展現崇敬自然的心意,並進一步反思人類與自然共生共存之道)

 

 

 

【作者簡介】

 

菊田守(1935-2019),昭和至平成時期的詩人。東京都人。明治大學畢業。大學時代讀過詩人安西冬衛(1898-1965)的短詩〈春〉,對詩產生興趣,開始寫詩投稿。之後長年任職於地方銀行,期間不斷創作。以多寫、善寫蟲魚鳥獸詩聞名,有「小動物的詩人」之稱。平成六年(1994),詩集《暮蟬》獲第一回丸山薰獎。曾任日本現代詩人會會長。著有《風箏》、《烏鴉》、《蚊的一生》、《麻雀》等十多部詩集。

 

 

[變身的烏鴉]

 

人說對烏鴉產生了厭惡

而將牠們趕走

烏鴉便從人前消失

 

但在書店角落的

鳥類圖鑑最後一頁的有限空間裡

烏鴉正飛動著

有的在石頭上休息

有的以緬懷往昔的姿勢

啄食田裡的種籽

 

初夏周末的電車

幾名穿著喪服的女性快跑衝了進來

清新的季節氣息隱藏在喪服之中

各自的白皙身段耀眼奪目

話語從唇邊輕輕飛射交錯

「烏鴉!」我小聲說

這不就是真正的烏鴉嗎

烏鴉變身成人,不怕生地笑著、鬧著

無視人群

 

森林中絢麗的綠意復甦了

烏鴉發出尖銳的叫聲

不久後

樹葉的喧嚷已停歇,談話也中斷

要抵達車站了

她們紛紛下了車

大概是回去森林裡吧

 

在我心中

人的話語就像樹葉一樣喧騰

沒多久

如烏鴉離去後的黃昏般的靜謐悄然降臨

 

[変容のカラス]

 

ヒトはカラスが嫌いになったといって

追い払ったので

カラスはヒトの前から姿を消してしまった

 

しかし本屋の片隅の

鳥類図鑑の最後の頁の限られた空間に

カラスはとんでいた

あるものは岩に休み

あるものは昔をなつかしむ姿勢で畑のタネを

ついばんでいた

 

初夏の週末の電車に

喪服の数人の女性が走りながら乗りこんできた

新鮮な季節が喪服のなかに秘められた

それぞれの白い姿態をまぶしく輝かせ

言葉は唇から軽やかにとびかった

カラス! わたしはつぶやいた

これが本当のカラスではないか

カラスはヒトに変身して人なつこく笑い、ざわめき

ヒトを無視していた

 

森の中でまぶしい緑がよみがえり

カラスは甲高い声で鳴いた

やがて

木の葉のざわめきがやみ、会話が途絶えた

駅へ着いだのだ

彼女たちは次々と降りて行った

森へ帰っていったのだろう

 

わたしのなかで

ヒトの言葉が木の葉のようにざわめいた

やがて

カラスの去ったあとの夕暮れのような沈黙がやってきた

 

 

[]

 

蟬這個字形似禪字

用辭典查了下禪這個字

意思是讓心靜下來即能獲得的

高層次的宗教式內在體驗

寫了蟬這個字

感傷蟬虛幻無常的一生

住在土裡七年

只能在地上存活七天的蟬

聽到蟬鳴覺得悲傷

會鳴叫的蟬叫鳴蟬

不會鳴叫的蟬叫啞蟬

嚇得說不出話的樣子

嚇得啞口無言的樣子叫啞然

在禪和啞然之間

蟬正鳴叫著

 

[]

 

蟬という字は禅という字に似ている

禅という字を辞書で調べてみると

心を静めることによって得られる

高い次元の宗教的内面的体験とある

蟬という字を書いては

蟬のはかない生涯を哀しむ

七年間土の中に住み

七日間しか地上に生きられない蟬

鳴く蟬を聞いては哀れに想う

鳴く蟬は鳴蟬という

鳴かない蟬は啞蟬という

あきれて言葉の出ぬさま

あいた口のふさがらぬさまを啞然という

禅と啞然とのあいだで

蟬が鳴いている

 

 

[奇妙的戰爭]

 

深夜裡

我入侵蟑螂的世界

不小心

殺死一隻蟑螂

完全沒發覺

一夜之間

我家已被蟑螂占領

 

蟑螂被殘忍地壓扁

腳、翅膀和身體四散一地

我急忙收拾

但穿喪服的蟑螂

已在暗處窺探我的情況

 

我逃回臥室

像逃犯那樣鎖上房門

我讀了蟑螂國的歷史

被人厭惡卻有著漫長歷史

對蟑螂族感到佩服

現在為了蟑螂要舉行的葬禮

暫以虔敬的心情

祈求死去蟑螂的靈魂能安息

 

沒多久

我開始意識到我是人

占領我家、把我監禁在房內皆屬非法行為

我開始認真思考如何攻克蟑螂國

雖然連自己都無法置信

但是對蟑螂逐漸增強的厭惡

怎樣也無法消除

 

我想

明天要與蟑螂展開全面戰爭了

 

[奇妙な戦争]

 

わたしは真夜中に

ゴキブリの世界に侵入して

不覚にも

ゴキブリを一匹殺してしまった

まったく気付かなかったのだ

一夜のうちに

わが家がゴキブリに占領されていたことを

 

ゴキブリは無残にも潰れていた

脚と翅と胴体があたりに四散している

わたしはあわてて始末したが

喪服を着たゴキブリが

暗やみでもうこちらの様子を窺っている

 

わたしは寝室に逃げ帰り

逃亡者のような気持で部屋の鍵をかけた

わたしはゴキブリ国の歴史をひもといて

憎まれながらも長い歴史を生きぬいてきた

ゴキブリ族に感心し

いまゴキブリで行なわれている葬儀のために

しばし敬虔な気持で

死んだゴキブリの霊よ安らかにと祈った

 

しばらくしてわたしは

わたしがヒトであることを意識しはじめた

わが家が占領され、その一室にわたしが監禁されていることは不当だった

わたしはゴキブリ国攻略をしんけんに考えはじめた

自分でも信じられないことであるが

しだいに増してくるゴキブリに対する憎しみは

どうしても消すことはできない

 

明日はゴキブリとの全面戦争を展開しようと

わたしは考えた

 

 

[蟪蛄]

 

這又是

在地獄哪處遭到拷問呢

不僅身體連翅膀都是焦黑的

但依然整天嘰嘰叫

看那樣貌

不知為何恰似般若的面容

 

[ニイニイ蟬]

 

これはまた

地獄のどこで拷問されたのか

身体はもとより翅まで黒焦げである

それでも終日ジージーと鳴いている

その姿を見ていると

なぜか般若に見えてくるのだ

 

 

[麻雀]

 

抓麻雀這件事

不是做不到

而是不能做

殺麻雀

就是殺了自己

 

麻雀自由自在飛翔

和人類自由行走相同

 

灼燙的屋瓦上

被底下招呼聲嚇到的

麻雀

麻雀眼中映出了我

 

[]

 

雀をつかむことは

出来ないことではないが

出来ることではない

雀を殺すことは

己を殺すことである

 

雀が自由自在にとんでいるのは

人間が自由に歩くことと同じである

 

熱い瓦屋根の上から

挨拶されてびっくりした

雀だった

雀の目にわたしが映っていた

 

 

[初秋]

 

午後

擠滿年輕人的山手線電車裡

一隻蛇眼蝶迷途闖了進來

停在行李架上

那是收集樹液和動物屍體的蝴蝶

待在乘客森林中一動也不動

明明一直住在陰暗的森林裡

卻是多麼美麗的蝴蝶啊

在下個車站

蛇眼蝶跟年輕的人們一起下車

一時

車廂內猶如散發新鮮樹液氣息的雜樹林

顯得一片寂靜

 

[初秋]

 

昼下がり

若い人たちで賑わう山手線の電車のなかに

一匹のジャノメチョウが迷いこんで

網だなの上にとまっている

樹液や動物の死体にあつまる蝶だ

乗っているヒトの林の中でじっと動かない

いつもは暗い林の中に住んでいるのに

なんと綺麗な蝶なのだろう

次の駅で

ジャノメチョウは若者たちと一緒に降りていったが

いっとき

車内は若い樹液の匂う雑木林のように

静まりかえっていた

 

 

[鴿子的一擊]

 

鴿子低空飛行

對我進行襲擊

就在白鷺公寓

往下井草一丁目的轉角旁

以前

這裡叫做天沼三丁目

昭和二十年遭遇空襲成了被燒焦的荒地

29搭載的美國士兵的部分遺骸四散於此

戰後四十餘年的現在

附近還住著美國人家庭

已是幽靜的住宅區

 

襲擊我的鴿子

在空中繞一大圈飛走了

捕捉蟬的童年時

如艦載機般襲擊我的鴿子

歪著頭

停在電線上

 

[鳩の一擊]

 

鳩が低空飛行で

わたしを襲ってきた

白鷺ハイムから下井草一丁目へ

角を曲ってすぐの所だ

以前は

ここは天沼三丁目と呼ばれ

昭和二十年の空襲で焼け野原となった所

29の米兵のバラバラの胴体の一部が落ちた所だ

戦後四十年以上たった今

近くにアメリカ人の家族もすんでいる

閑静な住宅街だ

 

わたしを襲った鳩は

大きく旋回してとび去った

蟬とりをしていた幼い日

わたしを襲った艦載機のような鳩は

電線にとまって

首を傾げている

 

 

[田螺]

 

養魚的水缸裡有三隻田螺

 

田螺吃水缸長出的青苔維生

 

水缸的水得以始終乾淨清澈

 

而田螺殼上卻布滿青苔

 

看不見自己背部的田螺

 

今天仍舊沿水缸邊緣爬行

 

[田螺]

 

魚の棲む水甕の中には田螺が三匹いる

 

水甕に生ずる苔を食べて生きているので

 

水甕の中はいつも綺麗に澄んではいるが

 

田螺の貝殼には苔がいっぱい付着している

 

自分の背中の見えない田螺は

 

きょうも水甕の縁を這っている

 

 

[宛如土塊的麻雀]

 

麻雀

該不會是某人扔出的

土塊吧

 

咻的一聲被扔出的土塊

沒落到地上

而是在空中

長出翅膀 長出腳

朝地面翩然落下──

 

是幻覺嗎

現在從飛揚的風沙中

生出了麻雀

振翅飛向天空

 

[土塊の雀]

 

雀はもしかして

誰やらの投げた

土塊ではないだろうか

 

ぱっと投げられた土塊は

地面に落ちないで

空中で

羽が生え 脚が生え

ふんわりと地面へ舞い降りて──

 

幻であろうか

いまも風塵の中から

雀が生まれて

大空へとび立っていた

 

 

[麻雀的舞蹈]

 

麻雀在跳舞

踏在地上

碎步急行

腳輕輕蹬地

在空中跳舞

隨即站回地上

伸長腦袋

一副眺望遠景的艷麗姿態

 

今天

依舊從遙遠的天空彼端

飛來院子

獻出逗趣舞蹈的

一隻麻雀

 

[雀の舞踊]

 

雀は舞い踊る

地面を踏み

つつつと小走りに歩き

地を軽く蹴り

空中で舞い踊る

地面にすっと立ち

首を伸ばし

遠くを眺める艶の姿

 

今日も

遠い宇宙の彼方から

庭にやってきて

道化の舞台を舞っている

一羽の雀

 

 

[大蚊]

 

凝視著

魚腥草和庭菖蒲綻放的院子時

昏暗房間裡

出現一隻巨大的大蚊

彷彿拄著拐杖

撞那又撞這

飛來飛去

十公分的長腳

似乎立刻就要折斷

不顧這憂慮

砰的一聲撞上這邊拉門

砰的一聲撞上那邊牆壁

累了就坐在房間一角

看上去像是蚊界的冠軍

碩大身軀、大型翅膀

長腳的大蚊

一拉開房間拉門

便如原始昆蟲那般

不慌不忙飛進繡球花的花蔭

 

任何時候看起來

都像典型的老實人那樣

猛衝直撞的一生

平時在景物的角落

折彎長腳休息

滑稽又可愛的

大蚊

 

[ががんぼ]

 

ドクダミと朝鮮あやめの咲く庭を

眺めていると

うす暗い部屋の中に

大形のががんぼが一匹現れた

杖をついているように

あちらにぶつかり

こちらにぶつかりしてとんでいる

十センチもある長い足は

すぐに折れてしまいそう

そんな心配をよそに

こちらの障子にがつん

あちらの壁にごつんとぶつかっている

疲れると部屋の隅に座りこんでいる

見た目は蚊の仲間のチャンピオンみたい

大きな身体、大型の翅

長い脚のががんぼ

部屋の障子をあけると

紫陽花の咲く花蔭に

原始の虫のように悠然ととんでいった

 

いつみても

正直者の典型のように

ぶつかりぶつかりの一生で

平素は風景の片隅で

長い脚を折り曲げて休んでいる

ユーモラスで

愛らしいががんぼ

 

 

[分身]

 

在庭院乘涼

蚊子嗡嗡嗡飛來

停在我手腕上

扎了一下

吸我的鮮血

為了繁衍後代拚上性命

這隻蚊子,或許是

幾天前吸過我血的

母蚊的女兒吧

蚊子的身體因血逐漸染成紅黑色

想到蚊子靠我的血生長

不知為何就覺得像親人一樣恨不起來反而憐憫

也許是察覺到我這種想法

吸了血膨脹起來的蚊子

變成我的分身

不慌不忙

朝有牽牛花的庭前飛去

 

[分身]

 

庭で涼んでいると

蚊がぶーんとやってきて

わたしの腕にとまる

ちくりと一刺しして

わたしの生き血を吸っている

子孫をふやすために命がけである

この蚊、もしかして

数日前にわたしの血を吸った彼女の

娘ではなかろうか

蚊の身体は血で次第に赤黒く染まってゆく

わたしの血で生まれ育ったのか、と思うと

なぜか身内のようで憎めなくて哀れである

そんなわたしの思いを察してか

血でふくれた蚊は

わたしの分身になって

悠然と

朝顔のある庭先へとんでいった

 

 

[睡貓──日光・東照宮]

 

相傳是左甚五郎雕刻的

睡貓正在睡覺

在牠背後看不見的地方

有兩隻麻雀在飛舞

(繞進裡面一瞧便知)

 

左甚五郎

對任何事都一清二楚

在外側只雕了睡貓

他心腸好

讓兩隻麻雀

待在隱密的地點嬉戲

(這是他真正的心意)

 

貓正在睡覺

麻雀得以安心

飛舞嬉戲

 

其實

麻雀想睡覺

貓想起來

追逐麻雀

 

貓正在睡覺

其實在這裡

貓不得不繼續睡覺

而麻雀

不得不繼續飛舞

 

[眠り猫──日光東照宮]

 

左甚五郎が彫ったと伝えられる

眠り猫が眠っている

そのうしろの見えないところに

雀が二羽とんでいる

(裏にまわって見るとわかる)

 

左甚五郎は

何でも知りぬいていて

眠り猫だけは表に彫った

彼の優しいこころは

人目につかないところに

二羽の雀を遊ばせている

(これが本音でいいたいところだ)

 

猫が眠っているので

雀たちは安心して

とんで遊んでいられる

 

本当は

雀は眠りたい

猫は起きて

雀を追いかけたい

 

猫が眠っている

本当に此処では

猫は眠り続けなければいけない

そして雀は

とび続けなければならない

 

 

[狼煙]

 

一個多月

沒下雨的草原上

揚起了塵土

一大群麻雀

踏在泥土上行進

大地

猛烈晃動著

戴褐色鋼盔的

麻雀戰士雄赳赳行進

 

塵土飛揚著

那一帶

猶如升起狼煙

 

[狼煙]

 

ひと月余り

雨の降らない草原に

土ぼこりがしている

雀の大群が

土を踏みしめ行進している

大地が

ぐぐっ、ぐぐっと動いている

茶色の鉄兜を被った

雀の兵士の力づよい行進である

 

土けむりがあがっている

あの辺り

狼煙のような

 

 

[形如小螃蟹的蜘蛛]

 

冬日早晨

待在陽光灑落的起居室

喝著咖啡

小蜘蛛從天花板垂吊下來

仔細一瞧

是隻體長一公釐形如白螃蟹的蜘蛛

在我眼前

乘著暖氣的微風

輕輕、輕輕晃動

宛如雜技演員

白色蜘蛛乘風晃動

──今天一早就有好兆頭

帶來幸運的妖精飄然落在我家的

早晨

 

[小さなカニのようなクモが]

 

冬の朝

陽の光の差しこむ居間で

コーヒーを飲んでいると

小さなクモが天井からすーっと降りてきた

よく見ると

体長一ミリほどの白いカニのようなクモだ

目の前で

暖房の風にのって

ゆーらりゆらり、ゆれている

サーカスの軽わざ師のよう

白いクモが風にのってゆれている

──きょうは朝からえんぎがいいわい

わが家に幸せの妖精が舞い降りた

朝だ

 

 

[帆船──白狹扇蟌]

 

夏日

白鷺互動公園內

白狹扇蟌

停在葫蘆池的燈心草上

交配著產下卵

雄蟲以雌蟲頭部為支柱

如鴨跖草般直立身軀

警戒四周

雌蟲的頭

被雄蟲腹部的一對鉗狀物夾住固定

雌蟲像弓那樣彎著身

腹部浸在水中持續產卵

交配的樣子

宛如一艘帆船

 

微風中

神聖時間流逝的片刻

雌蟲正抖動著身軀產卵

一顆、又一顆

孕育生命的透明卵

靜靜落入池底

 

二十一世紀的午後

小小葫蘆池裡

長著燈心草的岸邊的

一艘帆船

 

[帆かけ舟──モノサシトンボ]

 

白鷺ふれあい公園

瓢簞池のイグサにとまり

交尾したまま産卵している

モノサシトンボ

メスのトンボの頭部を支柱として

露草のように身体を垂直にして

辺りを見張るオスのトンボ

メスは頭をオスの腹部のハサミで

押さえつけられたまま

弓なりに身体を曲げて

水中に腹部を浸し産卵を続けている

つるんだままの姿は

まるで帆かけ舟のよう

 

微風のなか

聖なる時間が流れるひととき

メスは身体を震わせて産卵している

ひとつ、またひとつ

いのちを宿した透明なたまごが

静かに池の底に落ちてゆく

 

二十一世紀の昼さがり

小さな瓢簞池の

イグサの岸にある

帆かけ舟

 

 

[兔子]

 

秋日夜晚

兔子來到庭前

牠把前腳

輕輕搭在有金魚的水槽邊

津津有味地喝著水槽的水

投映在水面的月亮

如生蛋黃般

滑過兔子的咽喉

一鉤彎月高懸天空

摸著下巴俯視著

 

[うさぎ]

 

秋の宵

うさぎが庭先にやってきた

金魚のいる水槽の縁に

前足をちょこんと乗せて

水槽の水をおいしそうに飲んでいる

水面に映った月が

生卵の黄味のように

うさぎの喉を通ってゆく

三日月が

天空であごをしごいて見ている

 

 

[宿敵]

 

河面上只露出眼睛的青蛙

一口吞掉

被河水沖走的紅蜻蜓

青蛙

還是小蝌蚪時

卻總是

被蜻蜓的幼蟲水蠆威脅

 

[]

 

川流れの弱った赤とんぼを

川面に目だけ出していた蛙が

パクリと食べた

おたまじゃくしの時

とんぼの幼虫ヤゴに

いつも脅かされていた

蛙だった

 

 

[老蛙]

 

深山的古池附近

一隻長滿疙瘩的

年邁蟾蜍

緊緊闔上嘴

閉目進入無的境界

看似蟾蜍老僧

但靠近看,半張著眼微笑

嘴彎成へ字狀

哎呀!

嘴邊露出了紅蜻蜓的翅膀

再定睛一瞧

是隻拼命忍住笑的蟾蜍

 

[老蛙]

 

山奥の古池の辺り

いぼいぼで

いかにも古老の蟇

口をぎゅっとむすんで

目をつむり 無の境地

蟇の老僧か と見たが

近寄ると 半眼微笑

口をへの字に曲げてはいるが

これはしたり!

その口許に赤とんぼの翅が覗いている

なおもよく見ると

必死に笑いを堪えている蟇である

 

 

[萬歲]

 

少年的我

捉來蜻蜓用線綁著

釣青蛙

釣到的青蛙扔地上

從腳趾開始把皮剝得精光

掛在細繩上釣小龍蝦

再把釣到的小龍蝦的尾巴掰下

釣牠們的同類

釣上來的同類

不論哪隻

都像高呼萬歲似的被釣起

萬歲、萬歲

萬歲是降服的姿勢

 

[バンザイ]

 

少年のぼくは

トンボを捕まえ糸に縛って

カエルを釣った

釣ったカエルを地面に叩きつけ

脚指からつるりと皮をむき

ヒモに吊るしてザリガニを釣った

釣ったザリガニのしっぽを千切り

仲間のザリガニを釣った

釣られた仲間のザリガニは

どれもこれも みんな

バンザイして釣り上げられた

バンザイ バンザイ

バンザイは降伏の姿勢であった

 

 

〈変容のカラス〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁1314

〈蟬〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁1516

〈奇妙な戦争〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁1819

〈ニイニイ蟬〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁20

〈雀〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁26

〈初秋〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁28

〈鳩の一擊〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁4546

〈田螺〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁6263

〈土塊の雀〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁8485

〈雀の舞踊〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁85

〈ががんぼ〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁8788

〈分身〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁90

〈眠り猫──日光東照宮〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁110111

〈狼煙〉,譯自:菊田守,《新編 菊田守詩集》(東京:土曜美術社出版販売,2002),頁117

〈小さなカニのようなクモが〉,譯自:佐相憲一等編,《命が危ないい 311人詩集いま共にふみだすために》(東京:コールサック社,2011),頁94

〈帆かけ舟──モノサシトンボ〉,譯自:菊田守,《日本動物詩集》(東京:文芸社,2017),頁94-96

〈うさぎ〉,譯自:菊田守,《日本動物詩集》(東京:文芸社,2017),頁160161

〈敵〉,譯自:菊田守,《日本動物詩集》(東京:‎文芸社,2017),頁172

〈老蛙〉,譯自:菊田守,《日本動物詩集》(東京:‎文芸社,2017),頁176177

〈バンザイ〉,譯自:菊田守,《日本動物詩集》(東京:文芸社,2017),頁178179

 

 

圖片來源:https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784286183329

 

 

台長: 寂寞道人殊一
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