フランクル・セレクション 2
精神医学的人間像
DAS MENSCHENBILD DER SEELENHEILKUNDE
著者 ヴィクトール・E・フランクル
訳者 宮本忠雄
訳者 小田晋
「精神分析はわれわれに快楽への意志を呈示しておりまして、それをわれわれは快楽原則として把握することができますし、個人心理学は権力への追求という形での力への意志をわれわれに明らかにします。しかし人間には、もっとはるかに深いところに根ざした、私が意味への意志と呼んだものがあります。すなわちそれは、自分の現存在をできるかぎり意味に満ちたものにしようという苦闘です。」(本文より)
『死と愛』において論じたロゴテラピーや実存分析の方法を、聴衆を前に講演する。精神医学は人間の存在を、どのように捉えればよいのであろうか。フロイトやユングの精神分析との違いを明らかにしながら、独自の人間像を描く。
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「精神医学的人間像」の著訳者:ヴィクトール・E・フランクル
Viktor Emil Frankl
1905年、ウィーンに生れる。ウィーン大学卒業。在学中よりアドラー、フロイトに師事し、精神医学を学ぶ。第二次世界大戦中、ナチスにより強制収容所に送られた体験を、戦後まもなく『夜と霧』に記す。1955年からウィーン大学教授。人間が存在することの意味への意志を重視し、心理療法に活かすという、実存分析やロゴテラピーと称される独自の理論を展開する。1997年9月歿。著書『夜と霧』『死と愛』『時代精神の病理学』『精神医学的人間像』『識られざる神』『神経症』(以上、邦訳、みすず書房)『それでも人生にイエスと言う』『宿命を超えて、自己を超えて』『フランクル回想録』『<生きる意味>を求めて』『制約されざる人間』『意味への意志』(以上、邦訳、春秋社)。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
宮本忠雄
みやもと・ただお
宮本忠雄<みやもと・ただお>1930年埼玉県に生れる。1954年東京医科歯科大学医学部卒業。精神医学専攻。1973年から自治医科大学教授。1999年歿。著書『精神分裂病の世界』(紀伊國屋書店、1966)『人間的異常の考察』(筑摩書房、1970)『現代の異常と正常』『言語と妄想』(平凡社、1972、1974)『妄想研究とその周辺』(弘文堂、1982)。訳書 ビンスワンガー『現象学的人間学』(共訳、1967)メルロ=ポンティ『知覚の現象学』2(共訳、1974)テレンバッハ『味と雰囲気』(共訳、1980、以上みすず書房)ハンス・トリューブ『出会いによる精神療法』(共訳、金剛出版、1982)ラカン『パラノイア性精神病』(共訳、朝日出版社、1987)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
小田晋
おだ・すすむ
1933年大阪に生れる。1963年東京医科歯科大学大学院修了。精神医学・犯罪学専攻。筑波大学教授を経て、2001年から帝塚山学院大学教授、国際医療福祉大学客員教授。社会経済生産性本部メンタルヘルス研究所長。著書『文化と精神医学』(金剛出版、1974)『社会病理診断』(中央公論社、1986)『日本の狂気誌』『東洋の狂気誌』(思索社、1988、1990)『狂気の構造』『現代人の精神病理』『精神変容のドラマ』『少年と犯罪』『宗教と犯罪』(以上青土社、1986、1990、1992、1997、2002、2002)編書『司法精神医学と精神鑑定』(医学書院、1997)訳書 シプコウエンスキー『医原症』(共訳、文光堂、1977)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
http://www.msz.co.jp/book/detail/08002.html