いったん寝入ったところに、電話が掛かってきて起こされてしまいました。
ちょっと興味深い話なので少しだけ書いておきます。
フラットな話、と言っておきながら、
続きを書かずに横道にそれてすみません。
お題にも書きましたが、最近日本では、工場萌え、というのが多少流行です。
夜の工場の写真を撮ります。
とくに、化学プラントは夜間は配管や蒸留塔に照明が当たってとてもきれいです。
それがこころを癒されるというのです。
ウェブサイトから。
反面、化学会社は、プラントの写真を撮られるのを嫌がります。
悪いことをしているのを隠しているのではなく、
配管や蒸留塔、リアクタの配置を見ると、
おおよそのプロセスや生産量が推定できるからです。
とはいえ、日本では、あまりうるさいこともないので、
撮影禁止、と書いてあっても、警備員さんに注意されるくらいで済みます。
なんで写真撮っていけないんだ、と、開き直ることもできます。
敷地の中で写真を撮って見つかっても、まあ怒られるくらいです。
私も、ヘッダにも載せているように、
コンビナート夜景写真を撮って歩いています。
(さすがに商売上、ここはダメ、というところでは撮りませんが)
ほんとにきれいですよ。
ただ、化学コンビナートは、プロセス機密だけでなく、
もうひとつ大きな問題を抱えています。
日本ではあまり気にすることもありませんが。
テロの問題です。
国によっては、コンビナート地域に入るだけでも、入念なチェックを受けます。
ましてや、夜間の化学工業地帯で車を止めて、プラントの夜景を撮影していたら、
必ず公安や警備(員、ではなく通常は兵)がやってくる、
そういう国もたくさんあります。
どこの国でも、原発はそうだと思いますが、
ある意味、化学プラントにも通じるところがあります。
もうひとつ、日本と違うのは、
そういう国では、禁止といったら禁止です。
どうしてだめなんだ、という交渉の余地はないのです。
また、知らなかったから、とか、禁止の看板が見えなかったから、
というのも、まず通用しません。ダメなものはだめなのです。
そこが、日本の人にはちゃんと理解できません。
私も、理屈では分かってもなかなか感覚的にダメですね。
そこで、海外でコンビナートの写真を撮るときは、
そういう国でなくとも、手続きを踏む、
というのが業界のなんとなくのルールになっているようです。
万が一、のときを考えてですね。
また、李下に冠を正さず、ということで、
国内でも、業界のひとは、あまり工場萌え写真を撮らないのかも。
知財権で訴えられた、という、うわさも聞きますしね。
また、一部の国では、鉄道施設もダメですね。
こちらは許可の取り方は熟知しています(笑)。
さて、迷惑な?電話の話に戻りますが、
今朝方、某国にある日系の取引先から、
その取引先のお客さんが出張で来ていて、
夜中にコンビナートの写真を撮って拘束されたので、
なんとかできないか、というものでした。もえー?ですね。
さぞかしきれいな写真が撮れたことでしょう。
なんて間抜けな、というかその取引先もなんで抑制しないのか、
とは職場の感想でしたが、考えてみれば、
まさかプラントの写真を撮る、とは予想できなかったのでしょうね。
うーん、もう、萌か、と言いながら、
お客さんではないけど、
(しいて言えばこちらがお客さんですが)
知らない仲ではないので、
領事館やらあちこちに電話をして、
なんとかしてもらいましたが、
「侵入」の部分がなかなかクリアできず、
さっきやっと解放されました、と電話をもらった次第です。
当人は、捕まってさぞかしびっくりしたことでしょう。
日本に戻っても、きっと冒険話に花が咲くでしょうね。
工場萌え写真自体は悪くないと思います、
周りにも、自分にも迷惑にならなければ。
ウェブサイトから。
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