最低24日間の年次有給休暇をすべて消化しながらも、会社や社会が回るドイツ。日本とはいったい何が違うのか。日本でも取り入れられそうな、具体策はあるのか。日本で日系企業に勤務した後、ドイツに渡り、現在はドイツの企業で働いている日本人に、日本とドイツ、それぞれの働きかたについて聞いた。
德國社會與企業, 一年至少有24天有薪假, 日本倒底跟德國在工作上有何不同? 日本雖有具體措施. 在日系企業工作後又轉到德資企業服務的日本人, 聽聽他怎麼說?
■「何のための仕事か?」目的を常に問い、無駄を省くドイツ人
「為了什麼目的工作?」經常不斷反覆問, 德國人省下很多無謂的冤枉路
2014年2月から、ドイツ・ベルリンのメーカーで社員として働いているAさん。得意のドイツ語を生かしたいという思いから、日本企業での勤務を経て転職した。現在はマーケティング部署で、顧客のニーズと開発部門を結ぶ仕事を行っている。
今年二月轉職到德資公司的A先生, 德語流利, 日商公司勤務工作後轉職. 現在在行銷處, 針對顧客需求的開發部門工作
仕事柄、多くの同僚たちとコミュニケーションを図りながらプロジェクトを進めていく。その中で、ドイツ人の働きかたが見えてきたとAさんは話す。
工作的關係, 要跟很多同事溝通, 同時有很多方案在進行. 這當中, 就可看到德國人工作的方法
「もちろん一口にドイツ人といっても、柔軟な人と頑固な人では、対応が全然違います。でも、一般的に誰もが『その仕事は何のために必要なのか』という、仕事の目的を重視しています」
當然德國人也有柔軟的人, 頑固的人; 不過一般而言, 『那個工作, 為了什麼, 一定要做這樣』的反問, 德國人會不斷反省做一件事的目的
忙しい人ほど、特にその傾向がみられるという。同僚に何かを依頼するときには、相手がその必然性を納得しない限り、着手してくれない。だから、依頼内容が相手の優先順位の上位に来るように説得し、常にプッシュする必要があるそうだ。
忙的人特別有這傾向, 同事有何事相求, 只要沒有說服對方該事的必要性, 是得不到協助的. 因此, 相求一事的內容, 需要想到對方手上工作的優先順序來說服他, 經常有看來需要促使的必要性
「ドイツでは、短時間で成果を上げることに対して評価されます。だから、無駄なことは誰もやりたくないのです」
德國不會一味追求短時間的成效, 而是先給予評估, 因為浪費時間的工作沒人想做
ドイツ人は何よりプライベートを大切にする。早く帰宅したい、有休を取得してプライベートを楽しみたいという思いも、短時間で生産性を高める働きかたを後押ししていることだろう。
德國人重視私有時間, 希望早點回家享受個人生活, 激發短時間內的高生產力
■優秀なリーダーが、目標を達成するために無駄のない組織を作る
優秀領導者, 為達目標不做無謂浪費的工作
当然ながら、仕事のプロジェクトには目標がある。それを達成するために、リーダーが「誰が、何を、どうするか」を決め、チームの一人ひとりがその役割を果たしながら、目標に向かって仕事をする。その無駄のない組織を、リーダーが徹底的に考えるのが、ドイツの特徴かもしれない。
當然, 工作上不可避免有目標要達成; 為了達成目標, 領導者會將「是誰做, 做什麼? 怎麼做?」 先行犛清, 組織中每一個人的角色界定清楚, 往目標前進來達成工作, 不浪費的精實組織, 領導人徹底把事情想清楚, 或許是德國做事的特徵之一
Aさんは、組織を統率するリーダーに実力が備わっていると感じている。部下が上司を信用している点も、組織がうまく回る要因の一つではないかと分析する。ドイツでは、リーダーはあくまでも実力で選ばれる。年齢や社歴はあまり問題ではない。
A先生覺得, 組織的領導統御, 領導人要具備實力. 部屬相信長官, 是組織運作良好的原因. 德國的領人實力取勝, 跟年齡, 在公司服務多久沒關係
これまで日本の会社では、リーダーは年功序列で決めるのが当たり前だった。今は多少変わってきているだろうが、中には実力が伴わないリーダーもいるだろう。そうなると、プロジェクトが機能しなくなる。
日本企業, 領導人通常以年資決定, 現在或許有些改變, 當中還是有很多不是很有能力的人位居領導位置. 因此要推動方案往前的動力較弱
日本では、ドイツほど効率は重視されていないのかもしれない。人事評価の際、「成果」だけでなく、長時間労働などの「頑張りぶり」が加味されているケースがあるのではないか。あくまで目標を達成するために働く、ドイツと大きく異なるように思える。
日本或許比較沒有像德國那麼重視效率. 人事績效考查, 不只看績效, 還看長時間工作累積的態度與精神. 與德國只重績效成果的工作是大異其趣
■フラットな人間関係、上司やクライアントとも率直に意見交換
率直的人際關係, 跟上司或跟顧客之間意見的交流是率直的
またドイツでは、信頼しているリーダーであっても、自分と意見が異なるときには明確に表明することが重要だとされる。その際、立場や年齢は関係ない。
還有, 德國職場中就算有令人信賴的領導人, 當有意見不一致時, 明確提出表達是很重要的, 這時不用考慮到職位年齡
「意見を言うのに、上下関係は存在しませんね。きちんと意見を言うことは大切です」とAさんは話す。質問をすることもいいとされる。例え頻繁に質問しても、丁寧に答えてくれるという。
「不必考慮上下從屬關係, 將意見說出來, 很重要.」A先生說.
フラットな人間関係は、クライアントであっても同様だ。日本では、受注した企業がクライアントに出向くことは当たり前とされ、ドイツに比べて訪問する頻度も高い。Aさんは、クライアントからの要求も、ドイツよりも日本のほうが高いと感じたという。
直接的人際互動, 即使在顧客面前也一樣. 在日本, 接訂單的公司很自然會順應顧客的需求, 比起德國訪問頻率也高. A先生說, 日本顧客的要求比德國顧客來得多...
「ドイツでは、企業の関係が対等だと思います。クライアントがメーカーに、『こういうのできる?』と相談するような印象です」
德國, 每一家公司等同視之. 顧客對廠商, 會提出『這樣可以做得來嗎?』這樣的問題
恐らく日本では「お客さまは神様」という感覚が、根底にあることだろう。クライアントであれば、多少の無理な要求は許される。受注した企業も、要求に応えるように努力する。もちろん、それが良い結果を生むこともあるだろうが、必要以上に時間のロスを生んでいるのかもしれない。
日本壓根比較把顧客當作神, 只要有顧客, 多少的無理要求都可容忍. 接訂單的企業, 盡量呼應顧客的要求去努力做到. 當然這樣的態度與標準也會產生好的結果. 但有時會花上超過本來需要的時間....
日本では、年齢や立場による上下関係を常に意識しながら生活しているものだろう。そのように教育を受け、社会は成り立っている。対してドイツは、子供の頃から、家庭でも学校でも自分の意見を表明するように育てられる。
在日本, 通常是依年齡, 輩份立場等的上下對待關係在生活的. 依這樣的想法受教育, 組成社會結構. 相對的德國, 從小孩子時候, 家庭方面學校方面已能教育到清楚表達自己的意見
今の日本で、上司やクライアントに率直な意見を伝えるのは、難しいかもしれないが、生産性を高めて、互いの目標を達成するためには、立場に関係なく率直に意見をいい合える環境があったほうがいいだろう。
德國的率直人際關係要搬到日本社會, 或許有點困難. 但想到能提高生產力, 彼此的工作目標能達成的目的導向來看, 把立場拿掉, 自在表達意見的環境是比較好的
■チームは少数精鋭、トラブルは短時間ミーティングですぐ対応
精兵組織遇到問題短時間內商議就可回應改善
変化の激しい現代では、変化にスピーディーに対応することも重要だろう。Aさんの働く会社では、ひとつのプロジェクトに関わる人数は、4〜5人。少数精鋭の編成で、問題が生じたときには迅速にミーティングを行うそうだ。
瞬息萬變的現代社會, 能快速回應變化的能力很重要, 以A先生服務的德商公司而言, 一個專案關係到的人數約有4到5人. 精兵制的組織, 可以很機敏地回應隨時產生的問題
ミーティングの時間は、30分から長くて1時間。純粋に問題を解決するために行うものなので、他の話題はしない。
會議時間, 30分鐘到最長一個小時, 針對問題的解決進行會議, 不講廢話
また、日本の勤務時代では、取引先にメールを送る際は、上司や他の担当者も必ずccに入れて同送するのが習慣だったそうだが、ドイツではなるべく関係者に絞って送る。少人数で迅速に動くことが、よいとされている。
還有, 日本公司要給顧客的e-mail的同時, 副本還要抄送主管及其他跨部門主管. 德國就是主要關係人的傳遞, 以達到迅速機動的效果.
そうできるのは、各人の仕事や責任範囲が明確になっているからかもしれない。責任や決裁権の範囲が不明瞭なら、念のためにできるだけ多くの人に知らせるのは当然のことだろう。
德國這樣的作法, 每個人的責任區都會畫分地很清楚. 如果有灰色地帶, 當然也會盡可能讓很多人知道
■日本の良さを生かしながら、個人を生かすドイツ式の組織作りを
ドイツ企業に勤務して、ドイツ式の働きかたに触れてきたAさん。効率を重んじ、率直な意見を交わしながらスピーディーに動く現在の勤務先は、私たちには理想のようにも聞こえる。
在德商公司服務, 接觸到德式工作方法的A先生, 學習到首重效率, 開誠布公交流意見, 這樣的工作方式是我們可以參考的理想模式.
しかしAさんは、日本のようにじっくりと人間関係を築き、多少無理をしてもお互いの仕事を補い合うやりかたも好きで、「そういう日本人らしさを失いたくない」と話す。ドイツは、何事もスピーディーな反面、リスクへの対策が不足していると感じることもあるという。
不過A先生, 還是喜歡日本職場那種慢熟建立起的人際關係, 不可能的事, 彼此截長補短地共同達成. 「並不想失去日本社會這種賴以共事的方式」A先生說. 德國, 什麼都講究速效的反面, 還是有工作上的風險存在
全般的に仕事において、ドイツは日本よりも非常にドライだといえるだろう。人間関係の恩義で働くことは、ドイツでは少ない。そのドライさは、日本人には心情的にあまり馴染まないのかもしれない。
全部就事論事, 德式工作可能可以說, 比日式工作顯得"很乾", 部份靠人情在達成的工作, 德國沒有, 這種情感義理, 不是德國人很擅長的
人間関係を大切にしながら、細やかな気配りができ、真面目に仕事に取り組む姿勢は、多くの日本人が持つ素晴らしさだと思う。
注重人際關係, 細膩周到, 又認真工作, 是很多日本人工作上的優點
一方で、そうした個人一人ひとりの能力を生かして組織の力を最大化する、合理的なシステム作りが重要ではないか。この点において、常に仕事の目的を考えながら、効率重視で動くドイツの働きかたは、参考になると思っている。
另一方面, 將組織個體的生產力極大化, 設計出合理順暢的工作流程很重要. 就這部份而言, 經常地思考這個工作的目的是什麼? 怎樣可提高效率? 德國的方法仍是可作為一個很好的參考
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