世界を変える青い光=ノーベル賞
時事通信 10月7日(火)
ノーベル物理学賞の受賞が決まった赤崎勇、天野浩、中村修二の3氏が開発した青色発光ダイオード(LED)は、LED照明の普及による省エネ化への貢献にとどまらず、ITや電力制御など、さまざまな技術分野で世界を変える可能性を秘めている。
波長の短い青い光は、少ない面積で大量の情報を読み書きできる。青色LEDの技術を発展させた青紫色レーザーを使うブルーレイディスクは、赤色レーザーを用いるCDやDVDに比べ記憶容量が飛躍的に増加。小型・高性能のプロジェクターなどへの応用も進み、IT機器が生活のあらゆるところに存在する「ユビキタス社会」への貢献が期待されている。
また、電気自動車や次世代送電網(スマートグリッド)など大電力を制御する電子デバイスとしても有望視されており、LED照明とともに省エネルギー、低炭素化社会の実現に向けた鍵となる。
纐纈明伯・東京農工大副学長(半導体化学)は「いずれも21世紀の社会を支える技術。日本が一番進んでいる分野で、今後もコストダウンと高機能化が進められていくだろう」と話している。
スウェーデン王立科学アカデミーは2014年10月7日、同年のノーベル物理学賞を、実用的な青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇名城大教授(85)と天野浩名古屋大教授(54)、中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)に授与すると発表した。青色の登場でLEDは赤、緑とともに光の三原色がそろい用途が拡大。消費電力が少なく、耐久性が高い特長が注目され、白熱電球や蛍光灯に代わる白色照明のほか、携帯電話などのディスプレー、交通信号などに広く利用されている。
日本人のノーベル賞は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発で医学生理学賞を受賞した山中伸弥京都大教授以来。米国籍の南部陽一郎米シカゴ大名誉教授を含め計22人となった。物理学賞は08年に南部氏と小林誠高エネルギー加速器研究機構名誉教授、益川敏英名古屋大特別教授が受賞して以来6年ぶり。
青色LED、あらゆるところで活躍中
納骨堂、野菜栽培、安眠照明
withnews 10月7日(火)
赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の日本人3人ノーベル物理学賞で注目された青色LEDの技術は、様々な場面で活躍しています。野菜の室内栽培から、納骨堂、水族館の水槽まで。以外なところでも使われているようです。
収穫前に青色LED 栄養価アップ
千葉大学園芸学研究科の植物工場での研究では、収穫直前のレタスに青色LEDをあてると、蛍光灯で育てた時よりも、抗酸化作用がある成分が2倍になったそうです。後藤英司教授(植物環境工学)は、「植物にとってストレスの多い状況にすると、特定の成分が増えるようだ」と話しています。
青色と赤色組み合わせて生育改善
昭和電工は、植物工場で野菜を高速栽培する新しい技術を、山口大学と共同開発しました。LEDの青色光と赤色光を一定の比率で組み合わせると、作物の生育が良くなりました。。リーフレタスなら栽培期間を通常の3週間から2週間に短くできるそうです。
納骨堂 SF映画さながらライトアップ
名古屋市・大須の万松寺には青色LEDで輝く納骨堂があります。認証用のICカードをかざして入ると、参拝先の遺骨入りの引き出しが金色に。「納骨堂の暗いイメージを変え、女性に受け入れられるものを考えた」そうです。
イワシの水槽照らして、大迫力
愛知県美浜町の南知多ビーチランドにある大水槽は、青色LEDが使われています。水銀灯から青色LEDに替えたことで、ウロコが青白く反射して輝く群れを観察できるようになったそうです。
青色調節すると、寝付きよくなった
北川邦行・名古屋大名誉教授と愛知県立大などの研究チームの実験では、青色の強さを調整することで寝付きを良くする照明の研究をしています。コンピューターで青色の成分の強さを自動制御することで、寝付きが改善しました。
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