~ 夏の夕涼み ~
夏夜 相約到雙連文昌廟前 乘涼
「涼む、夕涼み、納涼、縁涼み、庭涼み、川涼み、下涼み」
江戸時代から昭和の中ごろにかけての真夏は、日が落ちていくらか涼しくなっ
て、人々はようやく一息ついていた。その涼しさを自ら体感しようとするのが
「涼み」と言えるだろう。「納涼(のうりょう)」は「涼しさを内に納めること」
で、「すずみ」と読ますこともある。エアコンの普及した現在では、「涼み」の
切実感はほとんどなくなっている。
わすれずば佐夜(さよ=小夜)の中山にて涼め 松尾芭蕉
(注)旅立ちの人へ餞別の句。
命なりわづかの笠の下涼み 松尾芭蕉
(注)西行の「年たけてまた越ゆべしと思いきや命なりけりさ夜の中山」(西
行)を踏まえる。
皿鉢もほのかに闇の宵すずみ 松尾芭蕉
(訳)夕飯を終えたあと、灯をつけず夕涼み。夕闇の中に皿や鉢がほの白く見
える。
瓜作る君かあれなと夕涼み 松尾芭蕉
(訳)遠くへ行った友人の旧居を見ながら夕涼み。いま君がいればなあ、と思
う。
破風(はふ)口に日影や弱る夕涼み 松尾芭蕉
http://sogyusha.org/ruidai/02_summer/suzumi_yuusuzumi.html
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